SPECIAL
COLUMN
2020.08.19
STAFFコラム『MMKサークルのあゆみ』
結成のきっかけとなったのは“性”に関する悩み
MMKは、2010年11月滋賀県大津市にて活動を開始しました。知的障害のある青年たちを中心として結成されたサークルで、性と生をテーマに毎月1回のペースで現在も活動中です。no-deではその事務局を担っています。
結成のきっかけとなったのは、メンバーAさんの性に関する悩みでした。
当時Aさんは「彼女が欲しい」「アダルト雑誌を見たい」と、色んな人に相談を持ちかけていましたが、個別の相談や学習での解消は難しく、「同じような悩みのある青年たちを集め、グループで学習をしてはどうだろう!?」と発想したことが「MMK」の形となりました。
MMKとは、「もてて・もてて・困っちゃう」の略で、みんなの共通の思いである「女性にモテたい」という目標の元、性や身体の仕組みの学習や、円滑な人付き合いに必要となる、社会性やマナーについても学習と実体験を重ねています。
性についての話題も「ここならOK」
MMKは、地域の相談事業所に協力を呼びかけ、障害のある青年3名、支援者2名で活動を開始しました。活動場所はカラオケルームとし、性についての話題も「ここならOK」とルール提示をすることで、プライバシーへの配慮と「性の悩みは不特定多数の人間がいる場所ではしない」という場面の学習を演出しました。
集まった3名はほぼ初対面でしたが、初回から、仲間同士横のつながりの中でアドバイスし合う光景が見られ、「こういうのっていいなあ」と、全員一致で毎月の活動を計画するに至りました。
当初は“性”の学習を集中して行いましたが、回を重ねる中、悩みが軽減されたメンバーからは徐々に「このサークルで色んな体験がしたい」と様々な希望が出るようになり、今では余暇や社会体験を目的とした活動が増えています。2020年7月現在、障害のある青年7名、no-deスタッフ、ボランティア数名で活動を行っています。
MMKの大きな特徴は、メンバー同士日中は別の施設や職場へ通っているということ。日ごろの人間関係から離れ、友人同士でのびのびと時間を過ごしています。
取り組みが評価され、糸賀一雄記念しが未来賞を授賞
活動内容はもちろん、自分たちで決めます。青年7名で、意見をぶつけ、喧嘩をし、譲り合い、自分たちのサークルを自分たちで作っていく。そして、計画に基づき一つずつ実施を重ねるたび、自信をつけ、また新しい活動に挑戦し…というサイクルを重ねてきたことで、メンバーの変化は活動中のみならず、私生活や仕事にも及んでいます。
1人暮らしを切望し実現させたメンバー、休みがちだった仕事を再開できたメンバーなど、その変化に家族や周囲の支援者は驚いています。
その取り組みは多くの方に共感いただき、平成26年には「糸賀一雄記念しが未来賞」(公益財団法人糸賀一雄記念財団)を授賞いたしました。実はno-deスタッフのほとんどが、このMMKサークルのボランティア出身です。多くのことを一緒に学び、共に成長してきたMMK。その魅力を知って頂くにはまだまだ語り足りません。この続きはぜひまた近い内に。
※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、現在MMKサークルの活動は随時内容を見直して実施しております。