incline-BLOG
2025.03.07
インクな日々④(インクライン雑感)
みなさま、こんにちは☺
放課後等デイサービス、inclineです。
もう年が明けて2ヶ月がたちました。ほんとうに一年って早いですね!そう毎年言い続けている気がするインクラインブログ担当です。
インクラインでは去年やった毎月の個人制作に加え、今年は巨大制作にも挑戦中。みんなで協力して1ヶ月に1作品ずつ作っていくのですが、これがなかなか毎月味のある素晴らしい作品を作ってくれます。小部屋の壁に順番に貼っていく予定で、現在は1、2、3月が完成。1年が終わった時にお部屋がどうなったのか、またお披露目できたらなと思います。
3月は卒業シーズン。インクラインの3人の高等部3年生のお兄ちゃんたちも、3月3日で学校を卒業。インクラインでともに過ごすのもあと一ヶ月です。
3人それぞれとっても素敵な男の子で、思い出を語り出すとお話ししたいことが沢山ありすぎるのですが、今日はそのうち一人のA君について、最近あったお話をしたいと思います。
2月のある日のことです。A君をお家に送迎している途中、急に激しく雪が吹き付けてきました。まるで、ぼとぼとと音のしそうなぼた雪で、さっきまでなにも降っていなかったのが嘘のように、すごい勢いであたりに積もっていきます。おしゃべりの好きなA君は車の助手席で「雪だ!雪だ!」と興奮していました。
A君のお宅は山裾の坂になった住宅街で、駐車場から階段をお部屋一階分くらい上がったところに玄関があります。保護者のかたと引き継ぎをしたあと、いつも必ずA君は私たちが階段を降りきって車を出発させるまで、一人玄関前の踊り場に残って、ニコニコと手を振り続けてくれます。
私はA君に、今日は雪が酷いから、いつもしてくれているお見送りはなしにして、すぐお家に入ろうかと伝えました。A君は最初反射的に「分かった」と返事してくれましたが、そのあとだんだん気になってきたのか「見送ってい?」「見送ってい?」と困惑したようなご様子でした。迷ったすえ、その方がA君の気持ちが落ち着くならと「いいよ」と私が言うと、「やった!」と嬉しそうなお顔。
お家に着いたとき、雪はますます激しくなっていました。玄関についてお母様に引き継ぎしている間にも、横殴りにこちらに吹き付けてきます。引き継ぎが終わると、私はお別れを言って、少しでも早くA君がお家に入るよう急いで階段を駆け下りました。
車に着いて、下からA君を見上げたとき、彼の短く刈った頭の上にはもう雪が積もっていました。最近よく着てきていたロックバンドのTシャツのロゴも白くなって見えません。だけれどもA君はいつもと全く変わらない素敵な笑顔で、ニコニコとこちらに手を振り続けてくれていました。
卒業おめでとう。あのとき君が風邪を引きませんようにと、帰りの車中ずっと祈っていました。これから君が会う人みんなが、誰よりも優しい、君の優しさに気づいてくれますように。