incline-BLOG
2024.09.20
インクな日々②(インクライン雑感)
inclineブログ 第6篇
みなさま、こんにちは☺
放課後等デイサービス、inclineです。
夏休みが終わりましたね。
ギラギラと輝いている夏が、その暑さの勢いそのままに毎年あっという間に夏休みを運んでいくようで、終わってみれば、お盆明けにくる台風が過ぎ去った静けさが象徴的なように、少し寂しくそれでいて新しい秋の始まりを感じさせる、そんな季節になりました。
新学期はいかがでしょうか?
この時期毎年「夏休みはやっぱり忙しくて大変だったでしょ?」とよく聞かれるのですが、正直私はみんなと過ごす夏休みって、とても好きなんです。
みんなとお出かけするための車を運転しながら、蝉の声がミンミン聞こえて、田んぼの稲の緑が熱気に照らされまぶしくて。ああ今っていい時間だな、自分が子どものいつかの夏もこんな景色を見たなって思いながら、インクラインの子どもたちのおかげでもう来ないはずの夏休みを、また体験させてもらっている気持ちになります。
今回はそんなインクラインの、今年の夏のお話を二つ。
一つ目。
『春になったら莓を摘みに』という梨木香歩さんの素敵なエッセイ本があります。弊社代表の歌藤のお気に入りの本なのですが、このエッセイの中で自閉症について梨木さんが考える場面があるんですね。
「ボーダーというよりグラデーションで考えよう。
今、私のいるこの場所から、ゆるやかに拡がって到達しうる場所に、彼らはいる。私たちが一つの惑星の、ただ異なる場所におり、海と陸とに風が吹き、あらゆる文化圏の人とも繋がっているように。」(トロントのリスより)
私はこのグラデーションって言葉がずっと頭に残っていて、インクラインのこどもたちについて考えるときの、自分の中のキーワードの一つみたいになっていたりします。
さて、インクラインでは夏休み、おやつによくかき氷を出すんです。かき氷のシロップって、実は基本的には同じ味で、香料と色が違うだけらしいんです。でもインクラインの子どもたちは、メロン味だったら食べられるとか、絶対イチゴ味じゃなきゃ食べないとか、こだわりが強い子が多いんです。他の色だと絶対に食べないのに、この色だと食べられたりするって面白いですよね。
そうやって銘々が自分で選んで、笑顔でかき氷を食べている光景を見ると、様々なかき氷のシロップの色で、自然とグラデーションができているんです。赤だったり、青だったり、緑だったり。そのそれぞれのカラフルな色が、氷でキラキラ輝いて綺麗で、まるでみんなの個性がそのまま可視化されたみたいで。なんといったらいいか、あるときその光景に、はっとさせられた時があったのです。今ここにあるこの美しさをなんとか人に伝えられたらいいのにって思ってしまう、本当に素敵な光景だったんですね。みなさんに見せたかったな。
二つ目
夏休みの最終日、ある利用者の親御さんが連絡帳に「今日が夏休み最後の利用です」と記入してくださっていました。その男の子は高等部3年生で、考えてみるとこれが学生時代最後の夏休みです。彼は週4日ペースで利用してくれていたので、貴重な学生としての最後の夏休みを一番私たちと過ごしてくれていたのですね。
いつもニコニコしているとても元気な男の子で、車ではよく助手席にお座りになります。一緒に色々なところにお出かけしましたが、彼の学生時代最後の夏休みにふさわしい時間を私たち色づけてあげることができたのか、それを見た瞬間結構ガツンと考えさせられました。
彼も大人になって、将来いつか8月の車窓から、この夏休みの景色を思い出すときが来るのでしょうか?
それが素敵な景色なら嬉しいです。